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長期の景気拡大期間と長期政権との関係 [2017年4月16日号]

◆2017年4月16日号の目次
 1. 当面の市況
 2. トランプの口先介入で円高圧力が強まる
 3. 北朝鮮制裁、ボールは中国に渡された
 4. 朝鮮半島の緊張、考えられるシナリオ
 5. 原則通りに「有事のキン」「有事の原油」が上昇
 6. 10日、トランプ政権に勢力争いの揺らぎ
 7. シリア攻撃が呼ぶ波紋と今後のシナリオ
 8. ダウジョーンズ・コラムにおけるトランプの変容
 9. 日本にはイノベーションが行われていない 
10. 再びアメリカ発シリア・リスクの件
11. 米エネルギー政策の大転換
12. 中国の不動産バブルはひとまずは回避したが先送りされただけだ、.............
13. 長期の景気拡大期間と長期政権との関係
14. 「日本ではベンチャー企業が育たない」の続き
15. JZAさんとの「トランプ政策が失敗となれば」についての交信

*一部抜粋(13)長期の景気拡大期間と長期政権との関係

両者に因果関係があるかどうかははっきり論証出来ないが、少なくとも明らかな相関関係はある。
日本は今、戦後3番目に長い景気拡張局面にある。日本経済は戦後15回の景気循環を経験してきた。20世紀中は「いざなぎ景気」と称する57か月間の最長期間景気でほとんどを佐藤栄作政権がその期間を占めた(日経平均は1,020円→2,500円台。上昇期間4年半。上昇率2倍半)。

これが2番目に長く、一番長いのは「いざなぎ越え」と言われた「いざなみ景気」である。2002年1月から08年2月まで続いた。3番目は今の景気である。景気というのは平たく言えば「経済活動の元気さの度合い」を言うが、そういう主観的な表現では金融政策や財政政策を含めた景気刺激策や抑制策は出来ない。よって旧経済企画庁は明確に定義し、1950年代後半から計量的に客観的な数値で表してきた。これは景気先行指標、景気一致指標、景気遅行指標であり、日経新聞に客観的に公開されて半世紀以上にわたる。そして「景気の山」(株で言えば大天井)や「谷」(株で言えば大底)は景気循環の局面変化は旧経済企画庁の議論を踏まえて決めてきた。そして月例報告では閣議を経てその言葉遣いまで一言一句に至るまで正確に表現してきた。3月の月例報告では「緩やかな回復基調」が続いていると表現している。緩やかと付けるか付けないか、続いていると付けるか付けない、この一言一句が討議されて決まる。筆者は長い間景気循環学会に属していた。当然そういう議論には関係していた。私事にわたるが筆者の景気循環学会での最初の論文は「戦後日本の景気循環に対する株価の先行性の実証的研究」である。これは機関誌の論文集に選ばれ翌年の日本経済学会での発表論文となった。大した理論ではない。戦後のすべての景気循環に対して株価がそれぞれ何か月先行したかという実証的な事実を調べたに過ぎない。そうすると長期間の景気拡大は長期政権と大いに関係があるということが判明してくる。前述の「いざなぎ景気」は佐藤栄作政権「いざなみ景気」は小泉政権、いずれも記録的な長期政権の時代であった。長期政権と景気の長期拡大とは因果関係があるか否かは論証出来ないが少なくとも相関関係があることは事実が示している。

 

今、戦後2番目に長い景気拡張期になろうとしているのに、国民個人個人の間には豊かさを実感していない、とされている。

一つには景気拡張に勢いがないことだ。「いざなぎ景気」の景気一致指数たる鉱工業生産指数のグラフと「いざなみ景気」のそれとを比較すれば、上昇角度がまるで違う後者はまるで穏やかなものだ。景気拡張に勢いが全くない。

二つ目には、物価が下がっていることがデフレ意識をもたらし、好景気意識からはほど遠いということだ。好景気とはインフレをもたらすものでなければならない。このことが戦後2番目に長い景気拡張期にいながらも好況感のなさにつながっている。それを旧経済企画庁が半世紀以上も前から何回も指標を適切に入れ替え改善しながら連綿と60年以上続けてきた、世界的にも、IMFからもOECDからも信用されている景気指標から見ての事実だ。

だが豊かさは実感出来ていない。株式相場、あるいは為替市場で自己の資産を増加させた人だけが豊かさを実感したであろう。これは政策の問題ではない。個人々々の自由市場におけるプレイヤーとしての行動様式の問題だ。

 

20170409_週報_N225政権

 

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