「可謬論」まとめ動画
投資の基本的な考え方である「可謬論」に関する動画をまとめました。
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#07「可謬論」~投資の原理~その1 人が市場で誤りを犯す14の心理的要因
【2016年9月1日 配信 】
人が市場で誤りを犯す14の心理的要因
#8 「可謬論」 ~投資の原理~ その2
【2016年9月8日 配信 】
「可謬論」とは何か
可謬論の根源となる考え方は、「人は新古典派経済学が仮説したような経済合理性のみに従って市場行動する者(ホモ・エコノミクス)ではなく、衝動による買い注文・恐怖心による投売り・羨望・焦燥・数理的錯覚・心理的錯覚などに囚われて動く面も多い」という事実である。
換言すれば、「人は誤りを免れ得ない」という哲学である。ヘッジファンドの帝王、ジョージ・ソロスの資金運用哲学はこれであり、多くの裁定取引はこの哲学に基づいて発明されたノウハウである。
我々は誰もが不完全な理解に基づいて行動しているという認識にあり、実際の真実を入手することは誰にもできないという「可謬前提」が基礎にある。
したがって、我々に必要なことは批判的な思考方法および物事に懐疑を抱くことであり、これこそが投機の原義である「深い思索・懐疑・迷い」の思考態度ではないか。
江戸時代、米相場で継続的に大成功して巨富をつくり現在も著名な資産家である本間家の相場師本間宗久は、直弟子たる豪農足鳶岡五十香に、市場における基本スタンスを「三位の伝」という言葉で伝えた。
それによると次の通りである。
「わが三位の伝を体得せんと欲せば、迷うて、迷うて、迷い抜くべし。その迷い抜きたるところ、それ即ち三位の伝なり」
これは「迷い・懐疑・思弁」という投機の原理を相場の秘伝として述べたものであり、原始的な表現でありながらも可謬論哲学の第一歩を示していると思われる。
バネの力を利用して利益を得る
ソロスは経済学者の均衡重視の考えを誤りと決め付け、もともと誤謬による不均衡が厳存し、それを回復しようとして市場自体の「無慈悲な」自己貫徹性が現れる、と力説する。
ソロスはこの「捩れ現象」を発見し、それの回帰性にバネを利用して市場リターンを取る。株式であれ為替であれ、彼の投機上の根底にあるものは「市場の可謬性を確信し、その誤謬を発見して回帰のエネルギーに投ずる」という、可謬論の哲学が根底にある。
集団的・横並び的発想による資産運用は非効率だという事実は、年金運用の失敗や大手証券会社の投資信託の運用結果で明らかである。
ニーチェは「人は、狂気でない個人でも、集団になると狂気を発することが多い」と言った。1960年代のアメリカの著名なファンドマネージャー、ジョージ・グッドマンは人間の投機行動について、同氏のペンネームであるアダム・スミス著「マネー・ゲーム」で、こう喝破した、「人は個人では優れていても、集団になると凡人以下になることが実に多い」と。ジョージ・ソロスも同様のことを言っている。
投資には当然リスクがあり、リスクのない投資に旨みはない。普通このリスクは、リターンに見合っていることと分散されていることが肝要で、このことさえ心得ていればいいのだ、などと簡単に言う。
しかし、自分の資金を投じてみればわかる。人の資金を論評することと自分のそれとでは、まったく別の心境になるのだ。
野村証券における営業経験と、野村を離れての自己資金の運用の場とを両方とも体験した結果、やはり行き着くところは「投機の精神」と「可謬論」の哲学なのだ。
可謬論を実践して儲けるには
では実際にどうやって「可謬論の根底にある市場の捩れ」を探して利益を取るのか。
2002年の秋から暮れにかけて「捩れ現象」は枚挙に暇がないくらいに頻繁に現れた。
その原因を解説的に後講釈すれば、
①企業同士の「持ち合い解消の売り」がここ数年前から継続していたことに加え、
②2008年から税制が変わり売買益の20%が徴収されることになるので、古くから取得していた原価の安い持ち合い株を年内に売却してしまおうといういわゆる「タンス株券の売却」が11月に集中した。
③各企業が運用していた年金基金の成果がうまく上がらないので、その運用を厚生労働省に返上するために、持ち銘柄がインデックスどおりでない限り持ち合いを換金する必要があるといういわゆる「年金代行返上の売り」が重なった。
「銀行の不良債権問題の未解決」という数年前からの金融不況の元凶とされていたバランスシート不況の上に、①~③の売りが加速し、ソロスの言うところの大きな「捩れ現象」が生じていた。
◆日経平均株価 1989年~2007年 月足チャート
例えば、GMが筆頭株主だったいすゞ自動車株が連日31円(その後1年半後に10倍を超えて313円)というように、常識では考えられないような「破綻価格」とでもいべき超安値が毎日何十何百も現れた。
果せるかな、その後の1年か1年半以内に、こういう例のすべてが4倍から10倍になった。めったに起きない大きな捩れ現象の回復エネルギーである。
◆いすゞ自動車 1989年~2007年 月足チャート
発見するのに一苦労するような「掘り出し銘柄」では決してない。誰でも知っているような銘柄が、何百も「千載一遇の捩れ現象」を起こしていたのだ。
可謬論の入り口でもいいから学んでいた者は、千載一遇の大バーゲンセールが何カ月も続いていることを見て取って果敢な市場行動に出たが、これほど単純明快な現象に気づかない者がほとんどであった。
繰り返して主張したい。
投機(投資)活動は、経済学や数理の教室で行われているのではなく、市場というジャングルで展開されているのだ。だからこそ揺るぎない哲学が必要なのである。
人が株式市場でやってきたことをずっと繋ぎ合わせてみると、そこに一つの人間像が出てくる。それが自分自身なのだ、と。己を知らざれば株式投資は非常に高い授業料を払うことになる。
そこで「人はどんなに学んでも、市場で誤りを免れ得ないものだ」という可謬論の哲学に行き着くことになるのだ。
#09「可謬論」実践編 ~東京電力HDについて~
【2016年9月13日 配信 】
【9501 東京電力HDの長期・中期の株価水準の確認】
◆ 東京電力HD 月足チャート
◆東京電力HD 週足チャート PBR:0.30倍(2016年9月13日現在)
【東京電力HD 10線転換】
10線転換陽転値:443円(2016年9月13日 現在)
*移動平均線の場合にも、期間の取り方により25日線、75日線、200日線など、短期・中期・長期の移動平均線に分かれ、短期線は最も早く転換を示唆しますが、その半面「ダマシ」も多くなります。一方、長期線は相場の目先のアヤに左右されず、転換は遅くなりますが、基調転換の信頼度が増します。
短期の「勝負事」では新値三段棒(3線転換)を、「投資事」における大勢の流れの転換を判断するには10線転換を、それぞれ使い分けることが重要です。
東京電力については2016年9月13日現在、終値で443円以上となると、2015年12月24日以来の陽転となり注目されます。
【新潟県知事選挙 日程】
告示日: 2016年 9月29日(木曜日)
投票日:2016年10月16日(日曜日)
#15企業不祥事の本質を見極める! オリンパス、BPの急落の「記憶」を「知恵」に転化する。【質問】苦境のドイツ銀行について
【2016年10月13日 配信 】
【Kさんからの質問(2016年10月10日)】
【まとめ】
【7733 オリンパスの大規模粉飾決算の例】
*月足での長期の株価水準を確認する
*日足
2011年10月、オリンパス株が、新社長に就任したマイケル・ウッド社長から巨額粉飾事件の可能性を公表されて大暴落した。この寸前、株価は2045円。
「トバシ」と言って、自社の持つ有価証券の評価損を子会社の付け替えて(トバシて)しまって表面上は自社の持つ評価損を消してしまうという巨額粉飾である。2013年7月に3人の責任者が2年6月(執行猶予付き)の刑が確定した。上場廃止にはならなかった。最悪期を買っておけば株価は10倍になった。これが概ねの顛末である。
・同社は内視鏡の技術と製品では断然世界一である
・世界市場の7割見当を占めている
・その技術と評価はゆるぎない
・現場も技術も生きている
・エライ人が粉飾しただけだ
・技術や製品に粉飾はない
・しかも粉飾は本業の部分でなく証券投資の大損を隠すためだという
よって、もし上場廃止になっても必ず再上場を果たすべく主幹事証券も東証も最大努力をするはずだ、事情が分かれば少なくとも事件前の株価を回復する可能性が大いにある。こう考えるのが「常識」である。
しかし、クライアントに説明責任のあるファンドマネージャーは大粉飾をやった企業に投資していることを説明することに苦労するから先を争って投げてしまう。絶好のバーゲンセールだ。「常識」通りに行動するのが筆者の「習慣」だ。
地相場の半値から買い始めて4分の一になるまでナンピンし続けた。勿論、超長期のつもりで、再上場を果たすまで持つつもりだった。結果は罫線で示すとおりだった。無論、筆者のことだから10倍になるまでは持ちはしない。2倍か2倍半で売り切った。売った後が高かったのはいつものとおりである。
【英国の名門会社ブリティッシュ・ペトロリアム社の例】
2010年4月、ブリティッシュ・ペトロリアム社のタンカーがメキシコ湾で事故を起こし大量の原油が流出して海を汚染させてアメリカが実害を被る事態となった。オバマ大統領はこれを批難し、ブリティッシュ・ペトロリアム社は損害賠償・罰金などを約400億ドルを超えただろうと言われていた。
筆者の知る限り、ニュースはこれだけであるが、そのニュースは筆者に次の行動を採らせた。
ブリティッシュ・ペトロリアム社の株価はどうなったか? もし3~4割以上も暴落していたら即刻買おう。ドルでもポンドでもいい。証券会社が扱いやすい方でいい。
ブリティッシュ・ペトロリアム社は、保険の超大手ロイズ社を生んだ英国の企業だ。400年前にアンビシャスな連中が志を果たそうと新大陸アメリカへ渡った時から損害保険は育っていたはずだ、その英国の名門ブリティッシュ・ペトロリアム社が保険が懸かってないはずはない。必ず当該事故は保険が懸かっているはずだから、同社の損害は大きくはない。それを考慮に入れない程度の大暴落があったら即刻買おう、という思いだった。
株価は予想以上に下がった。
多少の為替損が発生しても株価の急激な戻りがそれを埋めて余りあるはずだ、こう考えてドルで買った。ドルで買ったのは、結果としてその方が早く買えたからであって、為替の相場観があったわけではない。(結果的には証券会社が円換算で売買を執行してくれた)。
こういうことは早い方がいい。時間を経るに従って市場に理性が戻り、実害と株価下落の比較をし出すだろう、そうすれば筆者のような行動を採る者が増える、さすれば安く買えなくなる。大英帝国の名門大手老舗が大事故のために超安値で買える。
民主党政権の経済政策不毛時代に千載一遇の好機とはこれを言わずしてして何があろうっ!! かなり大胆に買ったつもりである。
【東芝の「不適切会計」の件から生まれた投資行動】
*月足での水準確認
*日足
【[ご参考]2000年8月の米子会社のリコール問題によるブリヂストの急落】
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【山﨑和邦 事務局 担当:石原】