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Tさんより、ゴールデン・クロス示現についての交信 [2016年10月23日号]

1. 約半年ぶりの戻り高値を付けたが・・・

日銀によるETFの買い、事業会社による大規模な自社株買いが海外勢と個人投資家の売りを吸収して半年ぶりの高値を戻した。

日経平均ボラティリティ・インデックス(以下、日経VI)は先行き安いと見ると増大し先行き不安が薄れると値は小さくなるが、この値が昨年大天井の後の所謂「チャイナ・ショック」の直後以降、1年2カ月ぶりの値に縮小した。先行き安いとの見方が薄れた現象である。ましてや罫線上のゴールデン・クロスが示現された。ここで次の二通りの見方が出てくる。

(A)売り越していた海外勢が買い越しに転じて2週間続いたこと、原油上昇、円高に歯止め、米景気堅調の見方、よって12月利上げで経済イベントは一段落、これらを以て長期の基調の変化と見るという見方、

(B)一方、これはあくまでも大型中間反騰の兆しであって中期トレンド上昇局面入り濃厚とみるも、今から大相場が始まるとは考えられない、という見方に分かれる。

本稿では後者(B)を採る。

◆図1 1990年以降の2万円水準までの上昇は「政策」を伴う
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海外勢はヘッジファンドの多くが11月決算で「45日ルール」によって「売りは45日前、つまり10月前半に済ませろ」というルールをクリアしたから買い越しに転じたのかもしれない。

また、海外勢が注目しているのは企業業績だ。

4~9月期の決算発表では下方修正が続いて出よう。米利上げは米経済好調の象徴だがこれも施行されるか否かは疑問だからだ。一方、海外から見ればアベノミクスの主眼たるデフレ脱却、つまり「2%目標」は失敗だったと見ているであろう。黒田総裁も「『2年内』で」は失敗だったという意味の言葉を「目標達成時期を先延ばしする」という表現で公表した。黒田さんの発言を待たずに現実が数値で示している。市場の一部もそれを表明している。